ブルックナー : 交響曲 第5番 (原典版)
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気迫溢れるコーダ |
朝比奈が演奏する5番は、生演奏に接するのが最良だという。ホールに響き渡る音の大伽藍は到底CDに収まりきるものではないというのが理由だ。エクストンから出ているCDは、全容を捉えているが何ともミニチュアのような感じがしてしまい、いささか物足りない。だがこのキャニオン版は十分に気迫が大きなスケールで伝わってくる。宇野功芳氏の解説によれば、1,2楽章ではやや息が揃わないが、3,4楽章で一気に調子をあげてくる。
私も、4楽章の出来は非常に素晴らしいと感じた。フーガからコーダへ、楽曲全体がそのスケールを増し、とくに金管パート、なかでもホルンに対する要求は厳しい。バランスが崩壊してしまう演奏も少なくはない。しかし、大フィルのホルンパートは見事にその要求に応え、!!!ーケストラとホルンが堂々とした音楽の対話を構築している。他の音楽家たちに比べれば無教育とも呼ばれかねないブルックナーが、まさに信仰と音楽を杖として到達した精神性の深みと巨大さを、もっと言えばブルックナーの「大悟」を、朝比奈と大フィルは余すところ無く伝えている。このような演奏が廉価で求められることを感謝したい。

