シュレースヴィヒ=ホルシュタイン音楽祭1998
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ベルリンとは違う世界を聴く楽しみと映像で観る楽しみ♪ |
ヴァントのブルックナーと言えば、1996年から2001年にかけてのベルリン・フィルとのライブ録音が
圧倒的な名演を聴かせてくれて、私も大好きな演奏ですが、ちょうど同じ時期に、毎年開催された
ホルシュタイン音楽祭で手兵の北ドイツ放送響と第4〜9番を演奏した記録が映像として残されて
いたとは知らず、驚きました。さっそく好きな5番を買いましたが、期待に違わず、いえ、ある意味、
ベルリンの演奏とはまったく違う世界を実現した、素晴らしい演奏でした。
この北ドイツ放送響との演奏は、いい意味で「力み」がまったくありません。
ベルリンとの演奏では、息を呑む集中力の高さとアンサンブルの完璧さや重厚なハーモニーで、
聴く人を圧倒するまさに「圧巻」という演奏でしたが、それに対して、
この演奏では指揮者とオケが(互いに深い理解と信頼のおかげで)非常に冷静な姿勢で、
作品の細部を緻密に練り上げ、見事な全体像を仕上げていく、実に「精緻」な演奏を展開しています。
徹底的にスコアを重んじたヴァントの姿勢がよく伺える演奏だと思います。
また、この演奏の時(1998年)に86歳の高齢とは思えないほど、実に溌剌とした初々しい表現が随所に
見られます。ベルリンの演奏とも趣きが違って、決して重く厚くならず、明晰な姿勢を崩しません。
改めて凄いなぁと感心しました。
また、映像としてヴァントの指揮ぶりを鑑賞できるのも、たまらない魅力です。
その指揮ぶりは年齢相応に、非常に動きが少なく、小さな合図しか出していないように見えるのですが、
視線や顔の表情や僅かな身振りで、雄弁にオケに語りかけている様子が、オケのメンバーの表情と
演奏される音から伺えます。
ベルリンとの演奏に加えて、愛聴盤が1枚増えました。

