ブルックナー : 交響曲 第3番 「ワーグナー」 (改訂版)
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終楽章コーダのティンパニが惜しまれる |
朝比奈隆指揮、大阪フィルハーモニーの演奏するブルックナー交響曲第3番のディスク。1889年第3稿(改訂稿)を使用しての演奏。1993年の収録で、ライブ録音ではなくスタジオ・セッション方式でのものになる。……冒頭から弱音無視で、のびのびというか堂々とした演奏だ。インテンポで素朴に、譜面をそのまま(弱音は無視だが)演奏している。堂々たる第一楽章の緊密度に比べると、第二楽章以下が少し散漫である。第二楽章のコーダや、スケルツオの主部、終楽章の前半は良い緊張感が支配している。反面、第二楽章の盛り上がる部分や、スケルツオのトリオ、終楽章のコーダは少しもたつき加減。そうは言っても、ブルックナーの交響曲にクレバーさではなく素朴さを、神秘ではなく人間味を求める方には最良のチョイスと思われる。
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大演奏 |
この演奏、何度聴いても飽きません。
開始から終曲まで、まったく弛緩しません。
特に聴いてほしいのは、終楽章のコーダの入り。トランペットが、絶妙の間合いで豊かな音をホールに響かせる。実に懐深い間合い。ラストの数分はブルックナーを聴いていて本当にイイナ、と思う。
朝比奈隆は、オケマンにとって、実に指揮の分かりにくい人だったという指摘がされるが、立派な指揮者だったことに変わりはない。
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堂々の第3番 |
この記録的名演を前にして、何が「指揮者の要求に応え切れていない憾みが残る」だろうか。
他の全集と比較をしても、演奏の密度、深さ、技量、全てにおいて上回っているし、この朝比奈版を超える演奏など、世界を探してもそうは無いのである。
私はこの楽曲はサヴァリッシュ・N響の演奏で聴いた。サヴァリッシュらしい、けれんみのない演奏であったが、この朝比奈版を聴いて、これがブルックナー指揮者による第三番なんだ、と実感した。
ブルックナーの満たされぬ思い、尽きせぬ音への愛、アダージョの神秘に満ちた静謐の美しさ、スケルツォの躍動、フィナーレの堂々たる歩み・・・。一切の音楽に、意味が指揮者と演奏者によって共感とともに込められ、歌い上げられている。切ないほどの、抱きしめ!るかのようなブルックナーへの愛で満ちている演奏である。


