ウィーン芸術週間1962~ウィーン・フィル特別コンサート
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ベートーヴェンを聴こう! |
クラシック音楽が金儲けにならず、いわゆる音楽マフィアたちの投資が激減したとはまことしやかに囁かれているところです。現在純然たる新譜のリリースは90年代の半分?出版業界が7年も連続で前年比割れを起こしていても、出版点数だけはプラスの推移を示していたのとは好対照です。インターネットを通じたソフトのコピー問題や、後ろ向きな業界の対応の不手際などといろいろありますが、何よりもクラシック業界の
ソフトそのもの、音楽そのものが劣化しているのがその最大の難点ではなかろうかと訝ります。
我々ファンは、新譜のうちに、あるいはライヴに接するなかで本当の音楽を聴いていたのでしょうか?たとえば、本物のフォルティッシモを我々は知っているのでしょうか?わたしは、このクナッパーツブッシュのDVDを視聴するまで知らなかったのではないかという疑いを拭い去ることが出来ません。それはつまり、ピアニシモもクレシェンドもディミヌエンドも何もかも、演奏というものを知らなかった、あるいは忘れていたということになるのです。
浅田彰氏などに言わせれば、このような物言いは「反動」ということになるのでしようが、氏によるアファナシエフのブラームス「ピアノ作品集」のライナーノーツを読めば、精妙に隠されているとはいえ、その文学的な音楽解釈が読み取れます。
ともかく、レオノーレ序曲3番のppからfffまでの音楽が膨れ上がってゆくような見事さを堪能しましょう。同収録の「トリスタンとイゾルテ」の素晴らしさには音楽を聴く歓び、ここに極まれり!!
指揮者クナの顔がそれ以上に素晴らしい、と言えるかも知れません。
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す、す、す、すごお〜い! |
レオノーレのコーダへいたるパッセージ部分、座って指揮しているクナが、ゆっくり第一ヴァイオリン群のほうを、あの厳つい顔で振り向き、前かがみ加減に右手を小さく一旋すると、凄まじいffが!!! 唖然。
極端にいえば、ここだけでも、見る価値があります。
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両神様の至芸の激突! |
現代では失われたタイプの神格化された指揮者としてはフルトヴェングラーとクナッパーツブッシュ(以下クナ)は双璧と言えましょうが、クナは残された映像が極めて限られていただけにこのDVDの登場は大いに歓迎すべきでしょう。しかもここではピアニストの歴史の中でこれまた神格化された代表格バックハウスの演奏映像が見れます。まさに指揮界とピアノ界の神様の共演というべきでしょう。おまけにここではバックハウスのベートーヴェン、クナのワーグナーという両神様の十八番中の十八番と言うべきレパートリーがウイーン・フィルという最高のオーケストラを得ながら披露してくれています。現代では聴かれなくなった骨太の至芸を一人でも多く方に触れて欲しいと心からそう思います
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退廃芸術あるいは神々の黄昏 |
待ちに待った映像である。クナのウィーン・フィルを振った演奏会。ソリストにバックハウスとニルソンという当時最強の布陣をかまえている。曲目はベートーヴェンからレオノーレ(3番)とピアノ協奏曲4番、ワーグナーのトリスタン前奏曲と愛の死。レオノーレの出だしからテンポの遅さに驚く。だが、ここでの見物はピアノ協奏曲だろう。クナの遅いテンポにバックハウスの軽快なテンポが徹頭徹尾ズレていく(ボスコフスキーの困惑がありありと見える)。このズレが生み出すスリルは現代では不可能だろう。打って変わってワーグナーでの生き生きした指揮振りは、良くも悪くもこの指揮者がワーグナー指揮者であることを強烈に意識させる。ニルソンの歌唱はすばらしい。この映像は、指揮者が神であった時代の終!!感じさせるのである。


