バッハ:フーガの技法
![]() |
人気ランキング : 7,574位 定価 : ¥ 2,345 販売元 : ソニーミュージックエンタテインメント 発売日 : 1997-05-21 発送可能時期 : 通常24時間以内に発送 価格 : ¥ 1,993
|
「鮮やかな色彩を避け、代わりに薄い灰色が無限に続く。…私は灰色が好きだ」。バッハが最晩年に、時代の流行すべてに背を向けて書いた「フーガの技法」についてグールドが述べた言葉である。 もっとも禁欲的で厳粛な、荒涼とした音楽。バッハの死の直前のこの傑作は、楽器編成が謎とされてきたため、さまざまな編成で演奏されるようになり、オーケストラで演奏されることさえあった。グールドはオルガンとピアノの2種類で録音を残した。 ディスクの前半9曲はパイプオルガンによるもので、1962年の録音である。きわめて非オルガン的な、奇妙な演奏であって、発売当初から非難の的となったものだ。まずオルガンにはつきものの空間性がまったくない。ミヒャエル・シュテーゲマンのライナーノートによれば、オルガン用の楽譜ではなく、チェルニーがピアノ用に校訂した楽譜に足鍵盤の指定を自分で書き込んだものを使用したという。少なくとも3番、4番、5番は手だけで足は使っていない。足鍵盤の使用は最小限に抑えられ、レガート奏法を徹底的に避け、楽器の送風音(まるで教会の外を行き交う自動車の排気ガスのようにブーンと聴こえる)を目立たせる風変わりなマイクのセッティングを行った。楽器の機械音とはいえ、聴いていて気分が悪くなるようなノイズをわざと拾っているグールドの狙いは何なのか? 聴けば聴くほど不思議な、まるで壊れた手回しオルガンのようにぎこちない味わい。グールドの残した録音中、最も「怪演」のひとつに数えられるものだ。 後半のピアノによる録音は、1967年および、グールド死の前年の1981年に収録されたものだ。すべてのテクスチュアがくっきりと浮かび上がり、闇の中に輝く美音が知的な刺激を撒き散らしながら、均整美の極致へと誘う、空前絶後の名演である。特にバッハ絶筆の第14番(未完のフーガ)が何と言ってもすごい。淡々と、しかし不思議な執念をもって進む厳粛なフーガが、まるで感電したように突然止まる。バッハが絶筆したまさに凍りつくような瞬間。「あらゆる音楽の中でこれほど美しい音楽はない」とグールドが断言する、この究極の12分間だけでも、本ディスクの価値は永遠のものと言えるだろう。(林田直樹)
![]() |
オルガン使用の理由 |
レオンハルト盤と並ぶ決定版と考えている。
ここでのグールドのオルガン使用の意図ははっきりしている。彼はオルガンをピアノ化して使用したのだ。それは本曲の「構造」を明らかにしようという意図であり、十分理解できる。「怪演」という評価は当たっていないと思われる。組曲系(フランス、パルティータ等)とは違って複数の旋律線の織りなす構造を重視する平均律系(インヴェンションや本曲集)の演奏としてはグールドのアプローチは適切であり、従来のオルガン演奏の枠内で考えるべきではない。
ピアノ演奏も含まれている本エディション盤を購入すべきである。
![]() |
グールド唯一のオルガン演奏 |
1962年1月31日から2月21日録音。
バッハの最晩年の曲『フーガの技法(1748年か1749年に作曲に着手、バッハは1950年に没している)』には指定楽器がない。指定楽器がないことからかグールドはこの曲だけなんとオルガンを選択する。使用されたオルガンはトロント市キングスウェイのオール・セインツ教会のもので、ケベック州サント・セサントのカサヴァン兄弟有限会社建造のものだった。このオルガンの特徴は教会堂の内陣の南面にむき出しになっているポジティブ・オルガンの部分にある。グールドのマイクのセッティングも相当に変わっていて、楽器の送風音をワザと拾うようにセッティングされている感じである。ピアノにおいても徹底して自分の好みのセッティングに変えてしまうグールドであるからしてパイプ・オルガンにおいてもしかりであるのは頷けるところだ(●^o^●)。
全てを自らの思うままにして『オルガニスト』グールドはこの曲に立ち向かう。おそらくはグールドの数多いアルバムの中でも『怪演』の一つであるはずなのだが、聴きだすとその世界にすっかり入り込んでしまう自分を見つけてしまう(●^o^●)。
こういうグールドもいいなぁ、と思う一枚である。(●^o^●)
![]() |
とくに付け加える事もなく... |
前半のオルガン演奏についてはマイクを極端に近づけているわけですが、これは残響を排除して空間性をはぎ取るという明確な意図によるものです。曲の構造を重視するグールドらしい意図ではありま〜〜す。オルガン=スピーカーというわけです。教会の火災で録音が中絶した後、総てをピアノで一気に録音し直すことも考えたものの実現せず、ばらばらに録音されたものがこのCDの後半に纏められています。そのために音質にもばらつきがありますが、充分に楽しめるものです。ピアノ演奏が纏められているという点で、フーガの技法についてはこのエディション版を購入〜〜されることを強くお薦めします。〜

