歴史上のクラシック音楽作曲家について紹介・評論します。

ワーグナー 楽劇《神々の黄昏》

ワーグナー 楽劇《神々の黄昏》 人気ランキング : 31,877位
定価 : ¥ 6,090
販売元 : TDKコア
発売日 : 2004-12-22
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価格 : ¥ 6,090
現代社会に対する痛烈なメッセージ

既成概念に対して、徹底して対抗するシュトゥットガルトの指環。演奏や歌手は2流だが、演出は超1流である。この「神々の黄昏」は結論から言うと、さすが鬼才コンヴィチュニー演出だという印象だ。一部だけ内容に触れておくと、たとえば第2幕、ハーゲンの家臣たちが登場する場面、ハーゲンもだが、家臣たちまで何と全員がスーツ姿で大合唱する。家臣たちが当初呼び集めたハーゲンの意図がわからないで騒いでいる場面なだけに、この演出は効果絶大である。これはまさに現代社会の縮図で、私たちが社会人として組織の長の考えを理解できないまま、とりあえず団体行動を起こしている姿に対する痛烈な皮肉とメッセージが込められている。これは第1幕の前半で動物の毛皮をまとったジークフリートの姿が第1幕後半から第3幕の絶命するまでの間、Yシャツ&ネクタイ姿になる展開にもよく現れている。清楚な格好をしていても、大切な何かを忘れたまま生きてる現代人そのものなのである。特に第3幕のライン川のほとりで熊を追いかけて登場するジークフリートの姿と第1幕の最初のジークフリートの姿との鮮烈な対比が素晴らしい。このほかにも随所で多数のメッセージがこめられており、各々で探してもらいたい。コンヴィチュニーは演出はクセのある変化球だが、メッセージは直球勝負。そのメッセージを受け取れるかが評価の分かれ目だろう。

決して奇抜なばかりではない秀演

奇抜な演出と、四部作をそれぞれ異なる演出と歌手で演じさせるという試みが賛否両論を巻き起こしたシュトゥットガルトの『指輪』の記録です。私も、特に神話世界を題材にしたこのような作品が必要以上に現代的にアレンジされてしまうことなどには、どちらかというと抵抗を感じるタイプの愛好家なのですが、四部作のうち少なくともこの『神々の黄昏』に関しては、よく観ていくとそれほど奇をてらった演出でもないことが分かってきます。その上、出演者たちの演技が他の上演以上に細かく綿密なため、ワーグナーの作った音楽の描写力をあらためて気づかされる場面も多々あります。したがって、演出や演技の奇抜さに目を奪われすぎず、音楽と演技の密接な結びつきを味わうつもりで楽しむならば、必ずやワーグナーの音楽について新しい発見をさせてくれる秀演だといえるでしょう。

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