ワーグナーと「指環」四部作
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ワーグナーの『指環』に関する最も手頃な案内書 |
ワーグナーの伝記や作品論、また個々の作品を扱った本は数多にあるが、最大の作品たる『ニーベルングの指環』四部作に絞ったものは、この文庫クセジュのものが最も手頃かと思われる。『指環』はひとりの芸術家が作り出した神話であり、世界観である。この史上最大規模の総合芸術作品の背景にある音楽家の人生観と創作意欲と方法論が簡潔に解説されている。近親相姦する悲劇の兄妹ジークムントとジークリンデ、その息子たる英雄ジークフリートと結ばれる神々の長ヴォータンの愛娘ブリュンヒルデが叔母になるなど『指環』の人物相関は複雑そのものである。創作の背景にある『ニーベルングの歌』『エッダ』等の古伝承から、無限旋律、ライトモティーフ、音楽と言葉の関係まで幅広く精密な考察がなされている。

