マーラー:交響曲第9番
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クラシック史上屈指の名盤 |
ワルターの、マーラーの、ウィーン・フィルの、のみならず、クラシック音楽史上屈指の名盤である。
もともとマーラーの九番はなぜか(伝説的)名演に恵まれている。バルビローリ然り、ジュリーニ然り。その中でも、この曲の初演者でもあるワルター盤は特筆すべき「ドキュメント」である。
この演奏の背景については多くがすでに語られている。戦前のワルター=ウィーンの最後の演奏会、ナチス・ドイツによるオーストリア併合の直前、ユダヤ人であったワルターが身の危険を感じつつ師に捧げた演奏。そんな中での演奏は、予備知識なしでも十分に感じることができる(だから知らないと共感できない、というのは全くの誤りだ)。
誰でも気付くのはこの異常なテンポであろう。おそらく現存する録音の中では最も速い(逆に最も遅いのはジュリーニと思われる)。第二楽章、第三楽章では、ワルターのどうしようもない焦燥が伝わってくる。逆に、第一楽章は自由にテンポを動かし、諦念に満ちた第四楽章に接続する。おそらくワルター自身、自分の感情を抑制できなかったのだろう。自らのレコードを好んで聴いていたと伝えられるワルターが「決して聴きたくないレコード」と評したのは、そのせいもあったのかもしれない。
まさしくベンヤミンのいう「アウラ」に溢れた演奏。フルトベングラー「合唱」と並ぶ、クラシック音楽録音史上の大名盤である。
なお、SP時代の録音としては、状態は極めてよく、ワルターの意図は十二分に伝わってくる。
また、この曲を愛する方には、バルビローリとジュリーニの名演も併せてお勧めしておきたい。
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実に聴きやすいマーラー第9 |
1938年の録音なので、音が悪いのは事実である。にもかかわらず演奏が余りにも真実味に溢れているので、これ程聴きやすいマーラーの第9番はないと思います。
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マラ9では最も感動した録音 |
最近聞き返したときは、音質の悪さに冷め切って乗れなかった。
初めて聞いたときはこれ以上ない究極の感動を覚えたにもかかわらず。
聴く側の体調や思い入れと言った準備が、鑑賞の成功を大きく左右するのだと思い知った。
時代的緊張感の中で生まれたきわめつけの名演だった。
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マラ9もマラ5もこの演奏は不可避です。 |
もちろん録音が古いので聴き苦しいということはある。しかしつまりそれはマーラーの時代に近いということだ。実際ワルターがマーラーの弟子であったということはマーラーを聴こうという人は知っておかねばならない知識だ。特に9番は初演を振ったのがワルターということもあり、そういう意味でも持っておきたい盤だ。録音されたのが第二次世界大戦が勃発しようとする不穏な空気な中でありながら、いや、あったからこそ、この上なく爛熟した一つの頂点を形作っていると思える演奏であり、まさしく「ヒストリカル」の名を冠して恥じることのないものであると言える。5番のアダージョに関しては、通俗名曲になってしまった現在、「こうして売りたいんだな」という意図が見えるので、愛嬌程度に笑っておきま!ょう。でも演奏の甘美さは決して損なわれていません。
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美しいマーラー |
甘く美しいマーラーである。マーラーのグロテスクさを強調することが今風なのかもしれないが、この演奏は、そんなことは微塵も感じさせない。言い尽くされた名盤ではあるが、もし、聞いてない人があれば、絶対に聞くべき。録音は古いが、音質は良好です。


