パブロ・カザルスの芸術
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何ゆえカザルスは不朽か |
当盤は1925年〜1928年のRCAでの音源が収録されています。
全て電気録音であり、マスタリングも比較的丁寧なので、
音質面では及第点といえるでしょう。
カザルスやクライスラーといった、19世紀〜20世紀にまたがって活動し、
商業レコーディングの初期に録音を残した人たちの、例え様もない優雅な
演奏を聞くにつれ、技巧的には発達している筈の現代の演奏家たちが
持ち得ない何かの存在を思い知らされます。
後進たちがより優れた演奏技術を獲得し、それと反比例するかの様に
何かを失っていく、というのはクラシックに限らずほぼ全ての
音楽ジャンルにあてはまると思います。
また録音技術の発達が必ずしも音楽表現の向上とイコールでない事は
21世紀の今、100年近い商業録音の歴史に残された音源を俯瞰して聴けば
あきらかでしょう。
現にカザルス自身、1950年代のインタビューにおいてさえ、
“1920〜30年代の録音と比べて、最近(1950年代)の録音では
音質は向上したが、何かが失われてしまっている気がする”
という旨の発言をしています。
演奏技術でもなく、録音技術でもない何かが音楽にある以上、
こういった先人たちの録音はそれゆえ不朽である訳です。
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心を揺らす音 |
音質は決してよくない。それなのに、なぜだか音色が心にうったえかけてくる。どうしようもなく心を打たれます。こういう演奏家は何人かいる。最新技術を駆使して録音されたCDよりも、音色が心にしみてくるのです。こういった演奏家は、なぜかステレオになったとたんに姿を消していく。。。。時代とは皮肉なものだなあとつくづく感じてしまいます。

