シューベルト : ピアノ・ソナタ 第16番 イ短調 D.845
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日本人である私を意識したシューベルトのソナタ16番 |
シューベルトのソナタは、素晴らしい作品で、世界中のどこでも通用する価値を持っているけれども、同時に非常にローカルで、方言で話されているような感じを抱くことがある。シューベルトのソナタでは、長いことリヒテルの演奏を愛してきた。それは彼の演奏が上記の両方の要素を含み、そしてどちらかというとローカルな、そこの空気を吸い、物を食らった人でないとわからないような味わいを漂わせていたからだ。しかし内田光子の演奏は、ローカルでわかりにくい方言を話すシューベルトという男を磨き上げ、ローカルであると同時に、嬉しいことに日本人の回路で理解できる演奏にしてくれている。シューベルトのソナタ16番は彼自身会心の作と考えていたようだが、まさにその通りの作品である。なおこの作品も二ノ宮知子の音楽漫画「のだめカンタービレ」に登場した(と思う)。こういう演奏を聴くと、自分が日本人であることを意識する。内田さんにとってはこういう評言は不本意かもしれないが、でも素晴らしい演奏であると私は思う。

